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プレハブの小屋をリノベーションした、週末を楽しむホビールーム

購入した土地に残っていたプレハブの物置を改造してセルフリノベーション。さらにクラシック・バイクを整備するガレージも作った。トライアンフを筆頭に3台のクラシック・バイクを格納するのが、Kさんの小屋兼ガレージだ。隣接するガレージの窓からは、壮大な南アルプスの景観を望み、くつろぎのスペースでは愛車を眺めることもできる。「週末は1日中ここで過ごす」という手作りのホビールームを訪ねた。

▲くつろぎのスペースにはコットやベンチ、写真には写っていないがキャンピングチェアなども用意されている。作業の合間に“ひと眠り”も可能だ。

甲斐駒ヶ岳や鳳凰三山が手の届きそうな甲府市の郊外、標高500mという山中にKさんが週末を過ごすという小屋がある。小屋のある山間の集落は、バブルの頃に別荘地として開発された宅地だそうだ。Kさんはその一角に木造の母屋を購入し、12 年前に甲府の市街地から移り住んできた。 

若い頃から乗り物が趣味で、現在は2輪を中心に古いバイクを手に入れては自らレストアしていく工程を楽しんでいる。もっとも、自宅は丘陵地の斜面に建てられているため、レストア作業をするガレージを増築するのは難しかった。そこで徒歩圏内に土地を探し、ちょっといびつな谷沿いの土地を手に入れたという。 

▲増築されたガレージ部。土間コンクリートを打設し、スチール製のフレームで柱と梁を組み立てて、壁を備えつけている。両方向から出入りができる構造はかなり便利。

当初はガレージを新築することも考えたが、購入した土地には元々物置として使われていたプレハブがあったことから、その駆体を利用してリノベーションすることを計画。周囲を造成して平坦な部分を増やし、プレハブの隣にバイクの整備ができる程度の小さなガレージを設けた。増築部のコンクリート打設から始まり、プレハブの内外装を無垢の板で囲うなど、5年の歳月をかけてコツコツと仕上げたのが、ご覧の小屋だ。  

▲小屋の内部にはヴィンテージのキャンプ道具もディスプレイ。コールマンの200A やヴィンテージのスチールベルトなど、マニア垂涎のアイテムも並ぶ。壁面の棚も造作したDIY作品のひとつだ。

完成したスペースは板張りの小屋部分と増築したガレージを組み合わせた2つのセクションに分かれているが、小屋とガレージを隔てる壁は窓を外してひと繋がりの空間としているため閉塞感はない。さらにガレージは表裏の両方向から出入りのできる設計としたことで風通しがよく、明るく開放感のある場所になった。

現在はこのガレージで1961年式のヤマハ・YA5 をレストア中だ。 小屋の中には1961年式のトライアンフ・T120ボンネビルも格納されている。こちらは整備するのが目的ではなく、磨いたり、眺めたりするためのもの。他にもレザージャケットやレッドウイングのブーツなどがディスプレイされており、大切な愛用品に囲まれ、リラックスできる空間となっている。 

▲レッドウイングのブーツやオフロード用のブーツなど、ライディングウエアも一通り収納。鉄筋と板を組み合わせたオリジナルの棚に、きれいに並べら小屋部分には若い頃から愛用するレザージャケットのコレクションもディスプレイされている。

小屋は眺望も抜群だ。傾斜地の地形を生かし、ガレージの床面レベルを低くしているため、作業中のバイクに視線を邪魔されることなく、小屋の中から雄大な南アルプスの名峰たちを望むことができる。 

こうして完成した小屋はKさんにとってまさに憩いの場となった。週末はこのお気に入りの空間で趣味に没頭し、大好きなものに囲まれた豊かな時間を楽しんでいる。くつろぎのスペースにはコットやベンチ、写真には写っていないがキャンピングチェアなども用意されている。作業の合間に“ひと眠り”も可能だ。

▲電気工事は未完了のため、照明は12V で引っ張った自動車用のヘッドライトを天井から吊り下げている。

TINY HOUSE DATA
建物名 オリジナル
製作 セルフビルド
外寸 W5600×D2900×H2800mm
内寸 W5350×D2600×H2200mm
床面積 13.91 ㎡(約4.2帖)
基礎 ブロック(小屋部分)
断熱材 あり(ウレタンフォーム)
工期 現在進行中
建築費 約17万円(材料費)

PHOTO|KAZUTOSHI AKIMOTO
TEXT|KAZUTOSHI AKIMOTO
PUBLISHED|2021
SOURCE|小屋 ちいさな家の豊かな暮らし Vol.04

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