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役目を終えた枕木を有効活用したセルフビルドの作業小屋

役目を終えた枕木を有効活用したセルフビルドの作業小屋

出雲平野の南側に広がる島根県雲南市。広島との県境に近い山間の集落に、T邸はひっそりと佇んでいる。周囲に広がるのはゆったりとした空気の流れる田舎の風景だが、目前の県道を通過する人々が熱い視線を注いでくるので、意外と忙しない。立派なログハウスがいくつも建つ光景に思わず目を留めてしまうからだ。いずれもハーフビルドやセルフビルドで建てられたという木造の建屋は、住居だったり、ガレージだったり。ここではどこを切り取っても絵になるT邸の「作業小屋」をご紹介しよう。

役目を終えた枕木を有効活用したセルフビルドの作業小屋

▲構造体として使用されているのは枕木。オーナーのTさんは廃材として販売されていたものを100本単位で購入し、写真の作業小屋やガレージに使用している。

結婚後はしばらく松江の市街地に住んでいたというTさんご夫妻。お子さんを自然の中で育てたいという思いから、30年ほど前に実家のある雲南市へUターン。同時に念願のログハウスを建てはじめた。

構造部分だけを専門業者に頼み、残りは“ 住みながら建てる” という手法で建築された住まいは、納得のいく出来栄えになるまで12~13年という長い年月をかけたという、愛着溢れるログハウスだ。

四国の百年杉を躯体に使ったという立派な住まいが完成すると、続いて1階をガレージ、2階をゲストルームとする2棟目のログハウスの建築を開始。こちらも主要構造部だけを業者に依頼し、壁や床などは自分たちで作ったという。

役目を終えた枕木を有効活用したセルフビルドの作業小屋

▲作業小屋の室内。板厚の枕木は断熱材も不要。収納棚や作業用のデスクなどもオーナーによるハンドメイド作品だ。

現在、2台のヴィンテージカーと1台のバイクが格納されている建物が完成した後は、写真の作業小屋を建築。その後奥様専用の小ぶりなガレージを建てた上、実家にあった漆喰壁の蔵も移設。ガーデニング道具を収納する小屋を合わせれば、敷地内に6つの建物が建築・移設され、その大半がセルフビルドまたはハーフビルドという類稀な空間が完成することとなった。

ここで紹介するのは、そんなT邸において、各種の木工作業を行う作業小屋だ。

他の作業が忙しく、未完のままだったが、コロナ禍のため外出することが極端に減ったことが幸いしてあっという間に完成。廃材となった枕木を積み上げるという、ログハウスによく似た工法を採り、ご主人がひとりで組み上げた。

役目を終えた枕木を有効活用したセルフビルドの作業小屋

▲北斜面に建築された作業小屋。大きな窓枠やガラス、ドアなども廃材を活用したものだ。海で拾ってきた流木などを上手にアレンジして、飾っている。

ひと口に“枕木”といっても、ホームセンターで販売されているような一般的なものではなく、1本の重さは100kg近くもある特殊なもの。重機も使わず、人力で積み上げられたのは、やはりこれまで培ってきた経験のなせる技だったのだろう。

ご存知のように枕木は製材後に腐食防止のために専用のオイルで防腐加工されている。このため廃材となった後も防腐効果を有しており、メンテナンスフリーとなるのが大きなメリット。

さらに一つひとつが不揃いで、陰影のある空間を生み出すという点も、Tさんが枕木を好む理由だという。

役目を終えた枕木を有効活用したセルフビルドの作業小屋

▲奥様専用のガレージは作業小屋と同じく枕木を積み重ねて建築されたセルフビルドの作品。作業小屋の後に建築されたものだ。

西側には材料をストックしておくオープンスペースを確保し、東側には小さなテラスも作った。

作業の合間にほっと一息ついていると奥様が温かいコーヒーを運んできてくれる。夕景に染まる田園風景と共に、今日も1日がゆっくりと閉じていく。T邸には、そんなのんびりとした時間が流れている。

役目を終えた枕木を有効活用したセルフビルドの作業小屋

▲写真は母屋の隣に建築された本格的なポスト&ビーム工法によるログハウス。1階がガレージ。

役目を終えた枕木を有効活用したセルフビルドの作業小屋

▲ガレージおよびゲストルームを備えた2棟目のログハウス。1階は写真のように広々としたガレージ。床にはここでも枕木を活用している。

TINY HOUSE DATA
建物名 オリジナル
製作 セルフビルド
外寸 W9400×D3900×H2800mm(デッキ含む)
内寸 W6000×D3000×H2000mm
床面積 18㎡(約9.86帖)
基礎 なし
断熱材 あり(屋根のみ)
工期 N/A
建築費 非公開

PHOTO|KAZUTOSHI AKIMOTO
TEXT|KAZUTOSHI AKIMOTO
PUBLISHED|2021
SOURCE|小屋 ちいさな家の豊かな暮らし Vol.04

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